2013年9月30日月曜日

#041 キティ・ホークを目指して

「港のような女になりたいの」

と、突然彼女に言われた友達がいる。

結局、その彼女は、停船所として友達に安らぎを提供し続けることなく、

勝手に旅立ってしまったという。


えっと、、、わたしは、、、

空母みたいな女になりたいです。


そこを起点に戦闘機はせわしなくいろんな所に飛び立っていって、

無事に還ってくる。

でも、空母である私も、大海原をゆったりと航行する。


そんなのが、理想だな。

だって、ただ黙ってじっと待ってるなんて性に合わないもの。








2013年9月17日火曜日

#040 ブラックチョコレート4



夜のとばりが降りてくる直前の時間帯が好きで

7階の非常階段から空を眺める。

風が出てきて、半袖のポロシャツしか着ていない肌が冷えてゆく。

空気の匂いは、もう秋だ。


もう秋だと思ったら胸の奥の方が痛くなって

目から水滴が出そうになってきたので

上を見上げた。


藍と橙がグラデーションに溶けた空の色を見ていたら

自分自身もこのまま空に溶けてしまいたくなって

気づくと涙が1滴、こぼれてた。

唇の端についたその滴を舐めたら、ちょっぴり塩辛かった。


秋から冬は一番好きな季節。でも、一番哀しい季節。

なぜなら、自分にとって節目を作りやすい季節だから。

身の回りの整理や決断、そういうことはこの大体この季節にしてきた。

心の整理も、この時期にすることが多い。

だから、秋の匂いをかぐと胸が痛くなる。

過去の、整理をつけた頃の気持ちを思い出すから。


思い出にしがみつくほどのセンチメンタリストでもないけど

それでも「あの時こうだったら、どうなってただろう」と思う瞬間はある。


この秋も、いくつか整理をすることがありそうだ。

生きてる限り、毎日は選択と決断を積み重ねてゆく。

自分が言ったことが、したことが、書いたことが、合ってるかどうかなんて

すぐにはわからないことはたくさんある。

間違った選択や要らぬ決断もすることもあるだろうと思う。

でも、大事なことは、

自分がこうしようと思ったことをどれだけ自分が信じられるか。

ぶれない心をどれだけ維持できるか。


キーボードを打つ手を休めて

モニターで自分が書いている文章を読み返しながら

ふと、無意識で手の平をマッサージしている自分に気が付いた。

そして、その理由にも気が付いた。

あの日のあの数時間は、何の意味があったんだろうか。


「そうしたい」と自分で決めた行動だ。

その時は心が満たされたけれど、

間違った選択だったのかもしれないなと、今は思ってしまう。

でも、もちろん、後悔なんてしていない。

間違ってても、きっと何かしらの意味はあったはず。



甘くて、苦い、思い出。