2012年11月14日水曜日

#021 活字を拾うのはカムパネラではなくジョバンニだ

さて、これはなんでしょう?




正解は、活字鋳造機です。

読んで字のごとく、活字を鋳造する機械。

カタチャキ、カタチャキ、と規則正しく乾いた金属音が続く。

ちょっぴり、ハウルの城っぽい。


活版印刷は、DTPの発達したこの世の中に残っている、昔ながらの印刷技術。

凹凸のある印字は、金属から生み出す紙への道しるべだ。







宮沢賢治「銀河鉄道の夜」を読んだ人なら、ジョバンニを知っているだろう。

ジョバンニのお小遣い稼ぎの手段は、活字を拾うこと。

数ミリ×数ミリの鉛でできた活字を拾うのは職人技。



私もチャレンジさせてもらいました。



15分、目を皿にして、目が乾くほど瞬きし忘れて、やっと拾えたのがこれ。



ちなみに、今Facebookのカバー写真にしているのは、この文選している(=活字を拾っている)ときに活字を入れていく箱の山。



活版って、やっぱり味があると思う。

廃れないで、長く残ればいいのに、と思う。

活版技術自体は、多くはないだろうけれど職人さんがいてくれるおかげで

なんとか残っているけど、話を聞くと、例えば活字をつくる鋳造機のメンテをやってくれる人、

直し方を知っている人が、どんどんいなくなってしまっているらしい。

もったいない話だ。

もっと細かい話でいうと、活字を組むにあたって、文字間を調整する

微妙な厚さの金属片があるんだけれど、それには特殊な加工がしてあるらしいのだが、

もはやその加工を施した金属片を作る職人さんがいないそうだ。

もったいなすぎる。私がその職人さんになりたい。




今や一家に一台どころか、一人一台くらいまで普及しているパソコンに慣れていると、

文字を打つのも簡単だし、それを出力するのもものすごく簡単。

こうやって、手間ヒマかけて刷ったものは、文字の重みが、文の重みが、違う気がしてくる。

一文字入魂、というのかな。


去年も作った活版の年賀状、今年も作ります。

プライベートの名刺も、作ります。

友人が4代目修行中の佐々木活字店で、作ります。


佐々木活字店
http://sasaki-katsuji.com/

鋳造見学会もやっているので、興味のある方はぜひ。



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