2012年12月5日水曜日

#024 ブラックチョコレート3

気に入ったものは気が済むまで試すという癖がある。


これは美味しい!と思ったメニューがあれば

その店では気が済むまで毎回そのメニューを頼む。

たまに違うものを頼んでも、やっぱりそのメニューに戻る。


これは気に入った!と思った服があれば

擦り切れたり穴があくまでその服はヘビーローテーションする。

場合によっては繕って修理してまで使いたおす。


この曲好きだ!と思えば

iTunesのレートは☆☆☆☆☆にして何十回でも聞きまくる。

流行や有名無名なんか、一切関係ない。



人間関係でも、その傾向がある。


友人でも、恋愛でも、一度自分が気に入ったと思ったら

気が済むまで、あるいはその関係に亀裂が入るまで、

お気に入りのポジションが変わることはない。


昔は、若気の至りで、お気に入りのあまり多少粘着質になったこともあるけど

さすがに今はそんなこともなくなった。

むしろ、お気に入りなのにも関わらずフラットな感じなので

相手に「お気に入り」と認識してもらえないこともちょくちょくある。


お気に入りだと声高に言うこともあるけれど

自分の胸の中におさめてるだけのこともあって

いくら気に入ってるからって

相手に対してその感情を押し付けたくないと思ってしまうから。



何事も、気に入ったものは気が済むまで堪能するのが、好きみたい。

そのかわり、お気に入りじゃなくなったときのクールな態度は

自分でもびっくりするくらい。

お気に入りを解除するときの葛藤は激しいけれども、

両方あわせて、生の自分だなと思う。




私には、天使の羽根をもいだらここに跡が残るだろうという場所に、

2か所、手術痕がある。


背中の左右両方にあるこの傷は、人に見せるのも恥ずかしいような醜い傷。

だから夏でもキャミソールなどは着ないように控えてた。

でも、自分の傷跡のほうがひどいよって

火傷ややんちゃの跡を見せてくれた人もいた。

傷跡をそっと指先で押さえてくれた人もいた。




昨日、この冬初めて、この背中の古傷が疼いた。


寒いからだけじゃないと、思った。

痛いのは、背中の傷だけじゃないような気がした。

甘くて、苦い思い出。





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