2012年4月12日木曜日

#013 蕭雨

いま、蕭々と雨が降っている。

たまった灰色の汚れをすすぎ落として新緑色へ。
淀んだ空気を洗い流して透明に。


あっという間に桜が咲く季節になった。

散った桜の花びらが川面を流れていくことを「花いかだ」と言うそうだ。
美しい言葉だね。


目で、耳で、鼻で、舌で、肌で、四季を感じる。
この、四季を愛でる感覚が好き。


ここに存在する私の体は数えられないくらいの数の原子の塊。
目の前にある景色のすべても原子の塊で
形あるものを埋める空気も原子で成り立っている。

私と、この世界にあるものは、すべて原子レベルでつながっている。
澄んだ空気とも、花いかだとも。



私はこの世の血であり肉。
世界の一部で、全部である。

無と有のはざまに身を溶かす。






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